株式投資の始め方について、基礎知識から具体的な手順までわたしの体験談を含めて詳しく解説します。
わたしが株式投資を始めたのはコロナショック直後のことで、投資歴は5年目になりました。
最初は不安でいっぱいでしたが、今では楽しく勉強と実践を続けています。
この記事では、株式投資の始め方の概要を以下の通りに説明していきます。
株式投資を始めるためには、まず仕組みを理解し、運用スタイルを決める必要があります。
次に購入する銘柄を決め、証券口座を開設していくことになります。
株式投資で成果を出すには、知識と時間と努力が必要不可欠です。
勉強することが多く大変な上に、リスクの高い投資なので、万人におすすめする投資ではありません。
ただ、配当や株主優待が届いた時はすごく嬉しいし、経済ニュースを見るのは勉強になって楽しいし、決算や株式ニュースから分析して株を売買するのはとても面白いです。
お金を増やす最もベターな方法はインデックス投資ですが、株式投資はインデックス投資とは違う難しさや面白さ、楽しさがあることを実感しています。
失敗談も含めて詳しく書くので、株式投資を考えている人は、ぜひ一度こちらの記事を最後まで読んでみてください🐰
株式(S株・ミニ株)投資の基礎知識
株式投資は知識と情報収集、時間、判断力、そして労力が必要不可欠となるリスクが高い投資です。
投資の中でも難しい種類に分類されるのですが、少額から始めることができるので、比較的始めやすい投資とも言えます。
まずは株式投資の仕組みや基礎知識を学び、どのように運用していくのか考えていきましょう。
株式投資とは?
- 配当と値上がり益を目的にした投資
- 株式は企業が資金を集めるために発行している
- 企業活動の利益の一部は配当金として株主に還元される
- 成長性や利益率が高い企業の株式の価値(株価)は上がっていく
株式投資は、株を保有している間は配当金を受け取ること、株を買った値段より高い値段で売ること(値上がり益)を目的にした投資です。
株式とは、企業が資金を集めるために発行しているもので、株式を購入した人のことを株主と言います。
株式発行で手に入れたお金をもとに企業は事業を運営し、利益の一部を配当金として株主に還元します。
流通している株式には限りがあるので、株式の価値は需給関係で上下します。
成長性や利益率が高い企業の株式は多くの人が手に入れたいと思うので株式の価格(株価)は上がっていき、成長の見込みや利益率が低い企業の株式は多くの株主が売って手放したいと考えるので価格(株価)は下がっていく、ということです。
買った株価よりも高い株価で売却すれば、利益を得ることができます。
株の売買で得る利益のことを値上がり益と言い、反対に売買して受ける損失のことを値下がり損と言います。
金融商品 | 特徴 |
---|---|
預貯金 | 元本が保証されている 手間がからない 平均利回りは0.3%程で、インフレ率(4.0%)に負けている |
投資信託 | 全世界の株式に連動するインデックス投資の平均利回りは7.5% あまり手間がかからない 元本が保証されていないので、タイミングによっては損失を出す可能性がある |
株式投資 | 銘柄選定やタイミングによっては、大きな利益を出す可能性がある 知識や情報収集、判断力が必要 元本が保証されていないので、銘柄選定やタイミングによっては大きな損失を出す可能性がある |
株式投資のメリット・デメリット
株式投資のメリット・デメリットについて紹介します。
メリット | デメリット |
---|---|
利益の伸びしろが大きい 比較的気軽に始められる | 企業が倒産した場合、価値が0円になる 知識と判断力、時間といった労力が必要 銘柄の構成バランス(ポートフォリオ)の調整が定期的に必要 |
株式投資の1番のメリットは、リスクの高さだと思います。そして、1番のデメリットも、リスクの高さだと考えられます。
発行されている株式には限りがあるので、成長性・利益率の高い企業を早い段階で見つけることができれば、10万円で買った株は、20万円、100万円とどんどん株価が上がっていく可能性があります。
一方で企業の業績や成長性が低くなれば株価は下がり、企業が倒産すれば株価は0円になってしまいます。
大きな利益が得られる一方で大きな損失を被る可能性があるということで、株式投資はリスクが高い投資に分類されていますが、信用取引など特殊な取引を別にすると、10万円で買った株は0円以下にはなりません。
対して株価の上昇幅は無限大なので、株式投資の1番のメリットは伸びしろの大きさだと言えます。
複数の銘柄に投資をしてリスクを下げようとすればある程度の資金が必要となりますが、証券会社と銘柄によっては数百円から始めることができ、比較的気軽に始められる投資です。
株式投資のデメリットは、リスクの高さと労力の大きさだと思います。
日本に上場している企業は全部で4,000以上、海外も含めると45,000社以上あります。
その中から成長しそうな会社を見つけるのは、たくさんの知識と判断力と時間、つまり労力が必要不可欠です。
また、株を買えば終わりではなく、その後も情報収集や分析をして銘柄の入れ替えを行ったりと管理が必要となります。
情報を集めて分析するのが好きな人は向いている投資ですが、あまり手間をかけたくないという人には向いていない投資と言えるでしょう。
株式投資を始めるのに必要なもの
投資家の売買は証券会社の仲介で証券取引所にて行われます。
そのため、投資家は証券会社で口座を開設する必要があります。
野村証券、SMBC日興証券、みずほ証券等の店舗型(対面)証券会社もありますが、サポートが手厚い分手数料が高いので、ネット証券を利用するのが一般的です。
ここではネット証券を利用して株式投資を始めるために、必要なものについてお伝えします。
- 証券口座(氏名・住所等の基礎情報、個人番号、身分証明書、電話番号、メールアドレス等)
- 銀行口座
- インターネット環境
この3つがあれば、株式投資をスムーズに始めることができます。
ネット証券の口座開設には氏名・生年月日・住所等の基礎的な個人情報と個人番号、身分証明書等が必須となっています。
証券口座のパスワード変更・緊急時などは登録しているメールに連絡が来るので、メインで使うメールアドレスを決め、証券口座に入金したり出金するための銀行口座も用意しましょう。
インターネット環境は、スマホさえあれば十分です。
口座を開設する証券会社の選び方は、株式投資を始める前の準備で詳しくお伝えするので、ここでは証券口座を開設する必要があるということだけ頭の片隅に入れておいてください。
株式(S株・ミニ株)投資の運用スタイル
株式投資は、良い銘柄を安いタイミングで買い、高くなった時に売却することで、大きな利益を得ることができる投資です。
損する可能性を出来る限り下げ、利益は大きくなるように、運用スタイルについて考えていきましょう。
購入する銘柄の選び方
まずは銘柄選定についてお伝えしていきます。
株式銘柄は成長株(グロース株)と割安株(バリュー株)の大きく2種類に分けられます。
成長株(グロース株)とは、成長性や将来性が期待できる銘柄のことです。
利益が年々増加していたり、需要の高いサービスを提供している企業を指し、具体的な業種としてはクラウドサービス業や半導体製造業、AI関連業等が挙げられます。
今後の値上がりが期待できる一方で、ほとんどの利益が設備投資に使われるため、配当が少なかったり、業績次第では株価が大きく下がってしまうというデメリットがあります。
銘柄選択は、定量分析と定性分析の両方の視点から行うのが一般的です。
定量分析とは、投資指標等の数値データともとに分析することです。
定性分析とは、今後も現在のビジネスモデルが機能するのか等、数値には現れない部分を分析することです。
グロース株の今後の成長性は、数値にすることが難しい定性情報が重要な判断材料(定性分析)となるため、長い経験や豊富な知識が必要となり、難易度が高いとされています。
割安株(バリュー株)とは、企業価値の割に低い株価で売買されている銘柄のことです。
すでに成長期を経て安定している大企業が多く、具体的な業種としては大手銀行や大手商社、製造業や小売業等が挙げられます。
成長株と比べて値上がり益が期待できない一方で、株価が安定しており、下落リスクが低いことがメリットになります。
また、グロース株と比較して、配当が多く、株主優待制度が充実している等株主還元に積極的な企業が多いのも特徴です。
バリュー株とグロース株は、どちらが良いという答えがあるわけではありません。
両方の銘柄に投資をしてバランスをとる方法も良いと思います。
膨大な銘柄の中から株を選択していく作業は、楽しいですが労力のかかる作業でもあります。
まずはグロース株とバリュー株のどちらに投資するか決めると、銘柄を絞りやすくなるはずです。
グロース株 | バリュー株 | |
---|---|---|
特徴 | 成長が期待できる | 企業価値に対して株価が低い |
株価 | 値幅変動が大きい | 値幅変動が小さい |
配当 | 配当を行う企業が少ない | 高配当を実施する企業が多い |
業種 | クラウドサービス 半導体関連業 AI関連業 | 大手銀行 大手商社 製造業 小売業 |
投資スタイル | 値上がり益が中心 | 長期投資で配当を得つつ 値上がり益を目指す |
バリュー株投資の中には、高配当株投資と呼ばれる手法があります。
高配当株投資とは、配当利回り(株価に対して配当がどれだけ受け取れるかを%で示す指標)が高い銘柄を保有・売買する手法です。
株価が下がって配当利回りが高い時に株を買い、目標値に到達するまで、もしくは半永久的に保有し続ける中長期運用が基本です。
配当額は会社の業績によって毎年見直されるので、業績によって配当が減ったり無配当になる場合もありますが、高配当株を保有することで定期的に配当金を受け取ることができます。
株を買うタイミングと買い方
気になる銘柄を見つけたら、会社のホームページや証券会社、会社四季報等から売上や利益を確認します。
「これは良い銘柄だ」と思ったらすぐに買うのではなく、その銘柄が安くなっている時に買うことだ大事です。
株を売買するタイミングの判断材料は、大きく分けて指標から読み解く方法とチャート分析の2つです。
指標から株の割安度が見える
株の割安度を測るものさしとして、PERとPBRという指標があります。
PERとは、会社の収益力(利益)から見て、今の株価が割安かどうか測るための指標です。株価収益率とも言い、株価を1株あたりの利益(1株益)で割って求めます。
つまり、株価が1株益の何倍になっているかを見ることができ、この数字が低いほど割安ということです。
業種によって数値の差が大きくなるため、異業種銘柄の比較には向きませんが、同業種銘柄の比較や過去のPER推移から割安度を測ることができます。
株の割安度を測る方法にはもう1つ、PBRという指標があります。
PBRとは、企業の資産から見て今の株価が割安かどうか測るための指標です。株価純資産倍率とも言い、株価を1株当たりの純資産で割って求めます。
つまり、株価が1株純資産の何倍になっているかを見ることができ、この数字が低いほど割安ということです。
普通ならば会社の価値は純資産以上になるはずなので、PBRは1倍以上になります。
PBRが1倍以下になっている場合は売られ過ぎているということになり、株価が割安になっていると考えることができます。また、底値の目安としても用いられます。
PERとPBRは過去の推移と比較することで、割安度を測ることができます。
銘柄 | セクター | 買い目安 (配当利回り) | PERレンジ | PBRレンジ | 配当 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
ショーボンド(1414) | 建設 | 2.0% | 11.9~28.54倍 | 1.22~3.38倍 | 16年連続増配 | |
INPEX(1605) | 鉱業 | 4.0% | 赤字~74.33倍 | 0.3~1.17倍 | 業績連動 | |
積水ハウス(1928) | 建設 | 4.0% | 赤字~17.78倍 | 0.65~1.27倍 | 実質累進配当 | |
アサヒグループ(2502) | 食料品 | 暴落時 | 12.94~25.16倍 | 1.01倍~2.24倍 | 実質累進配当 | 不況に強い業種 |
キッコーマン(2801) | 食料品 | 1.0% | 21.24~48.79倍 | 1.03~4.35倍 | 10期連続増配 | 不況に強い業種 |
JT(2914) | 食料品 | 6.0% | 10.67~25.14倍 | 1.33~3.27倍 | 安定的 | 不況に強い業種 |
花王 | 化学 | 3.0% | 16.08~31.60倍 | 1.68~5.06倍 | 34年連続増配 | 不況に強い銘柄 |
アステラス製薬(4503) | 医薬品 | 3.0% | 13.18~34.72倍 (2024年173.05倍) | 1.27~3.27倍 | 12年連続増配 | 不況に強い業種 |
大塚HD(4578) | 医薬品 | 2.5% | 13.69~29.81倍 | 0.95~1.61倍 | 安定的 | 不況に強い業種 |
ブリヂストン(5108) | ゴム製品 | 4.0% | 赤字~15.42倍 (2009年1270.31倍) | 1.08~1.73倍 | 業績連動 | |
リンナイ(5947) | 金属製品 | 1.5% | 18.24~24.61倍 | 1.16~2.18倍 | 22年連続増配 | |
小松製作所(6301) | 機械 | 暴落時 | 9.46~30.39倍 (2010年58.33倍) | 0.95~3.05倍 | 業績連動 | |
クボタ(6326) | 機械 | 2.0% | 10.52~24.41 | 1.15~2.12倍 | 実質累進配当 | |
トヨタ自動車(7203) | 輸送用機器 | 3.0% | 8.0~43.4 (2010年61.65) | 0.9~1.57倍 | 業績連動 | |
伊藤忠商事(8001) | 卸売業 | 3.5% | 4.76~13.29倍 | 0.85~1.71倍 | 累進配当 | |
三井物産(8031) | 卸売業 | 4.0% | 赤字~19.19倍 | 0.67~1.41倍 | 累進配当 | |
三菱商事(8058) | 卸売業 | 4.0% | 赤字~26.78倍 | 0.62~1.58倍 | 累進配当 | |
三菱UFJ(8306) | 銀行業 | 4.0% | 5.94~17.83倍 | 0.32~0.93倍 | 累進配当 | |
三井住友FG(8316) | 銀行業 | 5.0% | 5.12~16.09倍 | 0.34~0.88倍 | 累進配当 | |
SBI(8473) | 証券商品先物 | 4.5% | 赤字~48.88倍 (2010年131.79倍) | 0.52~1.26倍 | 累進配当 | |
オリックス(8591) | その他金融業 | 4.0% | 5.48~25.03倍 | 0.55~1.03倍 | 実質累進配当 | 不況に強い業種 |
日本取引所G(8697) | その他金融業 | 12.33~42.8倍 | 2.14~6.51倍 | 業績連動 | ||
MS&AD(8725) | 保険業 | 5.0% | 赤字~29.05倍 (2011年221.4倍) | 0.59~0.96倍 | 11年連続増配 | |
東京海上(8766) | 保険業 | 4.0% | 11.27~24.87倍 (2012年304.02倍) | 0.82~1.79倍 | 13年連続増配 | |
NTT(9432) | 情報・通信業 | 3.5% | 10.41~15.61倍 | 0.64~1.57倍 | 13年連続増配 | 不況に強い業種 |
KDDI(9433) | 情報・通信業 | 3.5% | 9.05~17.22倍 | 1.09~2.26倍 | 22年連続増配 | 不況に強い業種 |
Jパワー(9513) | 電気・ガス業 | 4.5% | 3.43~23.2倍 | 0.35~1.08倍 | 実質累進配当 | 不況に強い業種 |
株価の割安度や買い時を測る指標は他にもたくさんあります。
いきなり全ての指標を理解することは難しいと思いますが、数字を読み解くことができるようになると精度が上がっていくので、少しずつ勉強していきましょう!
売買タイミングは株価チャートから見える
株価チャートは、株価の動きをグラフにしたものです。
チャートはロウソクのような形をした図形から成り立っており、この1本ずつをローソク足と言います。
ローソク1本が1日の動きを表す日足チャート、ローソク1本が1週間の動きを示す週足チャート等の種類があり、細かい動きを見たいときは日足チャート、大きな流れを見たいときは週足チャートというように使い分ける方法が一般的です。
ローソク足は下のように、太い胴体の部分があり、その上と下に細い線(ヒゲ)がくっついたような形になっています。
最初の株価チャートを見ると、赤色のローソク足と緑色のローソク足があることが分かると思います。
赤色の場合は1週間の始まりに最初についた株価(始値)よりも1週間の終わりについた最後の株価(終値)の方が高かったこと、つまり上昇していることを示しています。
緑色の場合は逆で、始値よりも終値が安かったこと、つまり下落を示しています。
上昇しているローソク足のことを陽線、下落しているローソク足のことを陰線と言い、陽線でも陰線でも上ヒゲの先は高値、下ヒゲの先は安値を表しています。
わたし自身チャート分析は勉強中なのですが、トレンドと強い動きの確認だけはするようにしています。
株価は短期間で見ると上下していますが、長い目で見ると上昇している・下落しているというような傾向があります。これをトレンドと言います。
上の画像は三菱商事の週足チャートですが、上下しつつも右肩上がりの上昇トレンドであることが分かると思います。
株は一度トレンドが生まれると長期間続くことが多く、上昇トレンドで買った場合は利益が増えやすくなります。反対に下落トレンド中に買えば、利益は伸びにくくなります。
つまり、上昇トレンド中に一時的に下がった場面(押し目)が絶好の買い場になります。
上の三菱商事の株価チャートにはローソク足の下に折れ線グラフがあります。これは移動平均線と呼ばれるもので、株価を平均化した補助線です。
この移動平均線まで下がってきたところが押し目買いのチャンスになります。
ただし、取引数が一気に増えて急騰したり急落したり、移動平均線を大きく割り込んだり乖離するような強い動きがあった場合、トレンドが変わる転換点の可能性があるので要注意です。
チャート分析は奥が深いのですが、いくつかの基礎知識を知るだけで、多くの情報を読み取ることができるようになります。
指標と併せて売買の判断材料すれば、さらに投資の精度を上げることができるので、指標と同じく少しずつ学んでいきましょう!
株の買い方
株の買い方には、現物取引と信用取引の2種類があります。
自分の資産により行う取引のことを現物取引、自分の資産や有価証券を担保に行う取引が信用取引です。
現物取引の場合は、手持ちの資金以上の取引はできず、持っていない株式の売買はできません。
10万円で株を買い、その株が値上がりしたら売る…一般的な株式投資のイメージは現物取引ではないでしょうか。
対して信用取引は自分の資産や有価証券を担保に、証券会社から株を借りて取引をします。
最大3.3倍までなら手持ち額以上の取引が可能で、売りから取引を始めることも可能です。
大きな利益を生み出すこと場合もあれば、予期せぬ出来事があれば手持ち額以上の損失が生じることもあります。
信用取引はリスクが高くなる方法なので、まずは現物取引から始めることを推奨します。
単元株と単元未満株とは?
現物取引は、単元株と単元未満株の2種類があります。
株式投資は売買単位の整数倍の枚数で取引が行われます。
上場会社は100株を最低売買単位としており、最低売買数のことを単元と言います。
つまり、株価が500円の株を買う場合、500円×100株=50,000円+手数料が必要になるということです。
500円×20株というような買い方はできません。
これでは投資へのハードルが高くなってしまうので、投資家の売買注文を仲介する証券会社の多くは、100株よりも少ない単位で株を買えるようにしています。
100株よりも少ない単位で取引できる株を単元未満株と言うのですが、この単元未満株は証券会社によって名称が異なり、S株やミニ株、プチ株とも呼ばれています。
単元株と単元未満株のメリット・デメリット
ミニ株投資のメリット・デメリットについて紹介します。
メリット | デメリット |
---|---|
少額から始められる 分散投資がしやすくなる | 大きな利益を出すことが難しい 議決権の行使ができない 株主優待の対象外になることが多い タイムリーな売買はできない |
ミニ株投資の最大のメリットは、やはりその始めやすさ・気軽さにあると思います。
銘柄によっては数百円から始めることができ、ポイントを使える証券会社であれば現金すら必要ありません。
複数の銘柄を買うことでリスクを下げる分散投資も容易になります。
銘柄だけでなく、購入のタイミングを分けることで高値掴みのリスクを下げることも可能です。
例えば、毎月積立しつつ、市場が下落したり急落したときに少しずつ買い増したり、一定の基準まで下がったら多めに買う等、いろいろな運用方法を試せるようになります。
デメリットとしては、リスクを下げる分、株式投資の最大のメリットであるタイミングを見定めて大きな利益を出すことが難しいという点です。
また、単元未満株は議決権の行使ができなかったり、株主優待も対象外になることが多いです。
他にも、証券会社が注文をまとめて運用しているので、「今この瞬間に売りたい」と思ってもタイムラグが生じたり、注文方法が限られていることもデメリットの1つとして挙げられます。
株式(S株・ミニ株)投資の運用期間
株式投資の運用期間の目安は運用スタイルによって変わりますが、一般的には長期投資が推奨されています。
長期投資とは毎日変動する値動きを追って売買を繰り返すのではなく、一度投資した銘柄を持ち続けて成長を見守る投資スタイルのことです。
長期投資の期間に明確な定義はありませんが、一般的には10年以上を指すことが多いです。
長期投資と短期投資にはどちらもメリット・デメリットがあるので、どちらが良いという優劣があるわけではありません。
ただ、短期投資の場合は毎日株価を見て分析を繰り返す必要があるので、初心者や兼業投資家には向いていないと言わざるを得ないでしょう。
また、長期投資の場合は値上がり益に加え、銘柄によっては定期的に配当を受け取ることができます。
この配当をさらに投資に充てることで、利益がさらに利益を生み出すようになり、期間が長くなるほど大きな効果をもたらすようになります。
このような特徴から、金融庁や全国銀行協会の公式webサイトでも長期投資が推奨されています。
けれども、実際のところは利益は早めに確保して、損に対しては希望的観測で戻るまで待つという心理になってしまいます。
そのため、相場が急変してから判断するのではなく、配当利回りが4%以上で買い・配当利回り3%以下で売り等、予め売買のマイルールを決めておきましょう。
わたしはコロナショック直後から株式投資を始めました。
始めたばかりの頃の経験は決して誇れるものではありませんが、反面教師としてお話したいと思います。
株式投資を始めた頃は単元のグロース株を中心に運用していました。新型コロナウイルスの流行から注目されるようになった銘柄です。
急騰や過熱感からの急落、動きの早さや値動きの大きさから仕事中も株価が気になるようになりました。
休憩中はもちろんのこと、お手洗いで株価をチェックしたり、夜は他の人の分析や考えを聞いて一喜一憂したり…今振り返っても完全に自分のキャパを超えた運用をしていたと思います。
わたしは投資が好きですが、他にもやりたいことがたくさんあります。
自分がどう投資と向き合いたいか考えた結果、グロース株ではなく、長期保有で配当と値上がり益の2つを狙うバリュー株に切り替えることにしました。
高配当株を1株ずつ集める方法の方が合っていたようで、それ以降楽しく投資に取り組んでいます。
グロース株のスピード感がわたしには合いませんでしたが、株式投資において運用スタイルは人それぞれです。
勉強と試行錯誤を繰り返して、自分に合った方法を模索していくしかありません。
ただ、「株式投資なんてもうやらない」と思ってしまうほどの大きな失敗に繋がらないように、まずは少額から始めることを強く勧めたいと思います。
株式(S株・ミニ株)投資を始める前の準備
株式投資は無限の可能性を秘めた夢のある投資ですが、やはりリスクが高く難易度も高い投資と言わざるを得ません。
投資を行う上で知っておきたい運用方法の1つとして、コア・サテライト戦略というものがあります。
コア・サテライト戦略とは、運用資産を守りと攻めに分けて運用することです。
下の図のように、中核(コア)が資産運用の中心になる部分で、その周りをサテライト(衛星)が回っているように見えることから、コア・サテライト戦略と呼ばれるようになりました。
コアの部分は、リスクを抑え長期的な運用で安定的なリターンが得られる投資で運用します。具体的には、定期預金や債券、全世界の株式に連動するインデックスファンドなどが挙げられます。
サテライトの部分は、リスクが高く高いリターンを狙う投資で運用します。具体的には、アクティブファンドやREIT、株式等が該当します。
運用資産のうち70~100%をコアにして、残りの0~30%をサテライトで運用する…こうすることで過度なリスクを回避しながら利益を上乗せすることができるという考えがコア・サテライト戦略です。
今株式投資を始めようと思っている人に、他のこともやってみてと提案するのはどうなのかとは思うのですが、まずはコアとなるインデックス投資から始めてみて、投資に慣れてきたらサテライトである株式投資に挑戦するのがおすすめです。
わたしもコアとなる毎月積立のインデックス投資を中心に、サテライトとなる株式投資やメキシコペソ投資、仮想通貨を運用しています。
インデックス投資やメキシコペソ投資については、下記の記事をご参考ください。
証券会社を選ぶポイント
株式投資を始めるためには、証券会社で開設できる専用の証券口座が必要です。
インデックス投資を始めるにあたって、すでに証券口座を開設している人も今の自分にその口座が合っているのか確認してみてください。
株は証券会社の店頭や電話でも買うことができますが、手数料が安いネット証券を利用することが一般的です。
ネット証券もいくつかあって悩むかもしれませんが、選ぶ際のポイントが4つあります。
- 手数料
- 情報の充実度
- 取扱商品
- 経営の安全性
この4つの基準を高い水準でクリアしているのが、SBI証券です。
手数料が安く、情報量・取扱商品も最高水準であり、S株(単元未満株)の取引手数料も完全無料、利用している投資家が最も多い証券会社です。
以前は楽天スーパーポイントを使っている人は楽天証券、Vポイント・Tポイント・ポンタポイント・dポイントを貯めている人はSBI証券を開設することが多かったのですが、楽天グループの経営悪化によりSBI証券に移行する人が相次いでいます。
証券口座を開設する前に知っておきたいこと
証券口座は証券会社の公式サイトから開設することができますが、投資生活を楽しむために証券口座を開設する前に準備しておきたいことがあります。
それはポイントサイトとASPのセルフバックです。
「積立インデックス投資の始め方」の積立インデックス投資を始める前の準備で詳しく説明していますが、どちらも登録して条件を満たすことで案件達成となり、現金やポイント収入を得ることができます。
案件にはそれぞれ達成条件があり、条件を満たせばポイントや現金収入を得ることができます。
探してみると自分の使ったことのあるものや、愛用している商品なども見つかるかもしれません。
特に金融関係は証券口座の開設等多くの案件があるので、登録して確認しておきましょう。
わたしもポイントサイトやASPのアフィリエイトを利用して、証券口座の開設やクレジットカードの作成をしてきました。
得た収入を投資に回すことで、お金が増えやすい仕組みを作ることができます。
株式(S株・ミニ株)投資の始め方
ポイントサイトやアフィリエイト、クレジットカードのキャンペーン等の証券口座を開設する準備が整えば、口座開設を申し込みましょう。
口座開設の手続きは、本人確認書類の提出も含めて全てweb上で完結できます。
- 証券口座の申し込み
- 個人情報の入力
- 納税方法の選択
- NISAの開設
- 本人確認書類の提出
- ログイン情報のお知らせ(メールもしくは郵送)
- 初期設定(勤務先や銀行口座の登録)
聞き慣れない言葉が多く戸惑うのは、納税方法の選択です。
投資によって20万円を超える利益が出ると、確定申告をして税金を納めることになります。
税金の納め方は証券口座によって下の4種類に分かれます。
- 一般口座…年間の取引を把握して損益を自分で計算し、確定申告を行う
- 特定口座・源泉徴収あり…投資で生じた利益から自動的に税金が引かれる。確定申告不要
- 特定口座・源泉徴収なし…証券会社から年間の取引をまとめた年間取引報告書を受け取り、それを基に確定申告を行う
- NISA…1人1口座のみ開設できる非課税口座
確定申告をしたくないなら、利益が出るたびに自動で税金分が徴収される「特定口座・源泉徴収あり」を選びましょう。
会社員の場合、給与以外の収入がなければ株式投資での利益が年間20万円まで実質無税となる特例があります。
この特例を利用するなら、「特定口座・源泉徴収なし」を選んでください。
NISAは1人1口座しか作れない特別な口座です。
1800万円まで運用益が非課税となるので、必ず作っておきましょう!
わたしは積立インデックス投資はNISA(つみたて枠)を利用し、中長期運用の高配当株投資は特定口座・源泉徴収ありにしています。
口座の特徴は「積立インデックス投資の始め方」で詳しくまとめているので、参考にしてみてください。
株の買い注文手順
ネット証券を開設し、口座入金が終われば、いよいよ株を買うことができます。
- 何株注文するか
- 指値・成行の選択
- 注文の有効期限
買い注文を出すには、注文したい銘柄の名前か上場企業に割り振られている銘柄コードを入力して、注文画面を表示します。
欲しい銘柄をいくつ買うのか入力し、次に希望価格を入力します。
希望価格を決めて注文することを指値と言い、希望価格を指定しない注文を成行と言います。
指値よりも成行の方が優先されるので、急いで売買したい時には成行を使います。
ただ、成行はいくらで売買されるか分からないので、指値が基本です。
注文は有効期限を設けることができます。当日中であれば注文を出した当日のみ有効となるので、売買が成立しなかった場合は注文が失効します。
1週間と指定した場合は週末まで注文が継続されることになります。
S株投資の場合は証券会社が投資家から注文を集約して売買するため、指値注文ができません。
注文を出した時間によって、午前取引が終わった時の株価、午後取引が始まった時の株価、午後取引が終わった時の株価という風に自動的に成行注文として処理されます。
ちなみに東京証券取引所の株式取引では、午前9時から午前11時30 分までを前場、午後0時半から午後3時30分までを後場と言います。
株の売却について
買った株はネット証券の自分の口座に入ります。
口座の状況を知りたいときは、ポートフォリオや口座管理のページを開いてみましょう。
損益も自動で計算されて表示されるので、一目瞭然です。
株価は急騰したり急落することもあるので、保有している株や狙っている銘柄の株価とニュースは、なるべく毎日チェックするのが理想です。
株式投資は身近なもの
過去のわたしがそうであったように、株式投資のことを自分には縁がないものだと思っている人がほとんどだと思いますが、実際は違います。
わたしたちが普段使っている商品やサービスを提供してくれている企業のほとんどは株式会社であり、株式投資は本来すごく身近なものです。
資格を取得するような気持ちで勉強を続け、実践を繰り返す努力と時間が必要ですが、株式投資は自分の理想の生活まで連れて行ってくれる可能性のあるものでもあります。
今回、記事を書きながら一歩引いて客観視してみることで、株式投資の可能性や難しさ、楽しさに改めて気が付きました。
この記事が株式投資に興味がある方のお役に立てば嬉しいです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました🐰